進路の本棚 ― 高校生のビタミン本

2019年10月24日

その順位、正しい? 意味ある?

◇谷岡一郎『ランキングのカラクリ』(自由国民社)


社会調査や統計を専門に含む著者(大阪商業大学学長)が、新聞や雑誌、インターネットなどで目にする様々なランキングを俎上に載せて、それぞれの調査の妥当性を検討し、問題点を指摘する本だ。データの収集や集計の方法、数値の処理の仕方などを解説するが、まったく数式を使っていないので、だれでも抵抗なく読める。

本書で取り上げられる豊富な実例のなかでも高校生のあなたが一番関心を持つのは、日本の某ビジネス誌による「大学ランキング」だろう。「魅力」や「実力」に順位をつけるには慎重を要するのだが、この大学ランキングは指標と指数(大学の魅力や実力を数値化するのに必要)が不適切で実態の反映には遠いと著者は斬る。

なんらかのランキングを目にしない日はない。いろいろなものや人、出来事などの順位をベスト3とかトップ10とかいった序列でズバリと示す単純明快さは面白いが、単に面白い話題では済まないこともある。商売が絡むと、何らかの意図を持って、簡単に順位をつけられないものまで無理にランキングにする例が少なくない。いったん発表されると、さして根拠のあるランキングではないと思いながらも、順位が独り歩きして意外に人々の判断を左右することがある。タレントや政治家のイメージ調査などが、そうではないか。そんなランキングを、困ったことに新聞が拾って記事にして広めてしまうケースもよくある。ますますランキングが鵜呑みにされやすくなる。

では、まるで意味がなかったり、妥当性が疑わしかったり、結果を恣意的に捻じ曲げていたり――そんなランキングをどう見破るか。そのコツが本書の最終章にまとめてある。意味あるランキングを正しく作ったり、受け止めたりするうえで、ぜひとも知っておきたい事項ばかりだ。大学での勉強や社会人になってからのビジネスで調査・統計を扱う際に役立つに違いない。

(進路支援新聞 編集部)

© 2019 NPO法人高校生進学支援の会が運営する[進路支援新聞web]
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう